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哲学の不在
テレビを眺めていると、防衛費をめぐる報道でもちきりのようだ。国の予算に関しては背後にいつも財務省の思惑を感じてしまう。防衛予算も例外ではあるまい。どう見ても財務官僚がケチっている。ここではその話をするつもりはない。 最近のニュースで注目す... -
飢餓回避こそ第一義
「ムーアの法則」をご存じだろうか。大規模集積回路(LSI IC)の製造・生産における長期傾向について論じた指標。経験則に類する将来予測でもある。 米インテル社の創業者の一人であるゴードン・ムーアが1965年に論文で発表した。当時、彼はフェアチャイル... -
ガーンジー島からの紳士
岸田文雄内閣が低空飛行を続けている。共同通信社が11月26、27両日に実施した全国電話世論調査によれば、内閣支持率は33.1%。10月末の前回調査から4.5ポイント下降した。2021年10月に内閣を発足させて以来、最低の数字だ。不支持率は51.6%で初めて5割を... -
日米不平等条約
一国の政府にとって最も大切な使命とは何だろうか。国民の安心・安全を確保すること。これに尽きるだろう。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、日本のみならず世界各国で安全保障の重要性が再認識されている。現在の我が国を損得勘定で見た場合、安... -
転換点にて
今から32年前、1990年は東西ドイツが再統一を遂げた年に当たる。10月1日はドイツ統一の日と定められている。1989年11月にはベルリンの壁が崩壊。91年にはソビエト社会主義共和国連邦が内部分裂から単独国家としての存続を終了した。「東側」と呼ばれた社会... -
国葬に寄せて
2022年9月、私たちは二つの「国葬」を体験した。一つは英国で、もう一つは日本で行われたものだ。 英国の国葬は国王・エリザベス2世、日本のそれは安倍晋三元首相を送るために行われた。私はテレビ中継を通じて式典に注目した。英国の国葬は9月19日、ロン... -
英知は国益の為に
英国の女王・エリザベス2世が2022年9月8日、逝去した。 誠に残念ながら私は陛下の謦咳に接する機会を持たなかった。ただ、バッキンガム宮殿にお邪魔したことだけはある。英国王室の財務内容を改善する名目で夏の間、女王の不在を見計って一般に開放する。... -
自立なくして自尊なし
外交にはセンスが必要だ。誰にでも備わっているものではない。我が国の歴代外務大臣の顔ぶれを眺めてみても、その点ははっきりしている。日本の現首相である岸田文雄氏は外相経験者でもある。2012年12月に発足した第2次安倍晋三内閣で外相として入閣。2017... -
この国のカタチ
「やられた」 決定の報を聞いた際の率直な感懐である。きな臭いものはとうに感じていた。7月20日に行われた新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の治療薬・ゾコーバの薬事承認を議論する薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会と薬事分科会の合同会議。継続... -
良識の府
極めて時代相を帯びた事態だった。安倍晋三元首相が2022年7月8日、奈良市内での街頭演説中に銃撃され、死亡した。事件発生から10日余りが過ぎ、山上徹也容疑者が事前に安倍氏殺害を示唆する手紙を送っていたとみられることが明らかになった。 容疑者はその... -
デジタル衆愚政治
去る7月2日未明に発生したKDDIの通信障害。最大で3915万回線に影響が及んだ。 7月5日にはようやく復旧宣言が出たが、障害は約3日間と長期化。異例の事態といっていいだろう。お恥ずかしい話だが、私もご多聞にもれず、被害に遭った口だ。インターネットへ... -
閉ざされた言語空間〜バイデン来日で露呈
あるいはすでに忘却の彼方に追いやられようとしているのかもしれない。だが、決して「なかった」ことにしてはならない。だから、ここに記しておく。 5月23日、岸田文雄首相は迎賓館赤坂離宮(東京)で米国のジョセフ・バイデン大統領と首脳会談を行った。...
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